10,000字超えの長文記事を書くことも多い僕ですが、ありがたいことに最近はそれでも「読みやすい」「飽きない」といった声を頂くことが増えています。
僕は元々文章を書くのが上手だったわけではなく、むしろ長々と書けるだけでスキルや才能はない方だったと思います。子供の頃に文章を評価されたことはありません。練習を積み重ねて構成力を磨いてきた、凡人の1人です。
そして読みやすい文章を書くための練習とは様々あります。何でも良いので書き続けていれば上達はするものの、闇雲に進めるのは非効率ですし限界も早く訪れてしまいます。
僕もネットで文章を発信するようになって10年以上。その過程で色々な媒体や場所、形式を経由して今に至りました。
その中で誰にでも実践できて自分の糧になっているなと思う練習法は、「Twitterで長文を書く練習をする」ことです。
「Twitterなんて短文を思うままに書き殴る場所じゃ…」などのイメージが強い方が多いと思いますが、実は人に読ませる長文を書く上では、Twitterは最高の練習場となります。
今回の記事では、その理由を体験談を交えて解説しようと思います。
連投は内容を凝縮する必要がある
Twitterは全角で140字(現在は半角英数なら280字まで)で1投稿を行う短文投稿ツールで、その手軽さが受けて多くの人に親しまれるようになりました。
僕もTwitter歴はもうかなり長いですが、元はmixiというSNSでだらだらと長文記事を書くのを趣味にしている人間でした。なので、多くの人がTwitterに移行した時「長文書きの自分には合わないなぁ」と思ったのを覚えています。しかし周りのほとんどの人がmixiから離れてTwitterに移住したことで、自ずと僕もTwitterを中心に使うこととなりました。
程なくしてTwitterの仕様に慣れてきた僕は、Twitterでさえ長文を投稿するようになります。ですが、mixiの時のように取り留めのない長文を投稿するわけには行きません。
何分1投稿につき140字しか呟けないので、3,000字の文章を書くには21連投しなければなりません。それも他の人達が「○○なう」など数文字を呟く中で、ぎっちり詰まった140字を21連投。はっきり言って邪魔。
mixiなら自分の記事にアクセスした人しかその長文を読まなかったものが、Twitterは原則的に全てのフォロワーのタイムライン(TL)に干渉します。
しかもTwitterはリアルタイムで投稿する都合上、文章を書いている間にもTLは流れて行きます。長い文章を腰を据えて読むような土壌でもなく、10連投(1,400字)でも視覚的には多すぎるくらい。
こういった側面から、Twitterでは「ダラダラ長文を書かず必要なことだけを書く」スキルが求められました。別にそんなこと気にしないでも良いのがTwitterではありますが、やはり書いた以上は読んでもらいたい、できるだけ読まれる文章を書きたいと思うのが物書きの性です。
というわけでTwitterに移住した僕には、特に要点をまとめず好きなことを書き殴った長文ではなく、より内容を凝縮した文章を書く意識が芽生え始めました。
これがTwitterで長文を書くことで進歩した第一のポイントです。
全体を140字のブロックに分けるスキル
Twitterで長文を書くことに慣れてきた僕は、次の仕様上の問題点に意識が向き始めます。
それはRT機能。
Twitterを語る上で欠かせない功罪を持つ拡散機能ですね。
古のTwitterでは自身のツイートにリプライを飛ばすことで連結する、いわゆるリプツリーを作ることができませんでした。つまり、1ツイートで完結していないツイートの前後を伝える方法がなかったのです。
このため、長文で良いことを言っていても拡散されることはほとんどなく、また連投の一部分だけがRTされることで真意が曲解されて拡散されてしまうということが日常的に起こっていました。
そういった過去を踏まえて、現在では1ツイート内に画像で長文を添付して拡散する、不自然な位置で文章を区切り「→(続く)」と書いてリプツリーで連結する方法が一般的になっています。
長文書きである僕はこの仕様に頭を悩ませており、(当時は身内しか自分のツイートを見ていなかったとは言え)万一に備えてこのような事態に巻き込まれないようにしなければなりません。
できるだけ誤解されることがないように。
できるだけ1ツイートで意味が伝わるように。
この意識を常に持ってツイートをするようになったことで、僕は頭の中で「長文で伝えたい主目的」に続いて「それを140字に分割したブロック」を当たり前に作成するようになりました。
文章を変なところで区切らず、140字で全てのツイートを"完結"させる。
これを続けたことで、取り留めのない文章しか書けなかった僕は、いつしか全ての文章を約140字のブロックに分けて構成できるようになったのです。
枠組みの中でできる表現を
このスキルは、こうしてまたブログという土壌で長文を書くことになった今でもしっかりと根付いており、そのおかげで僕の長文記事は一定のリズム感を持って読むことが可能になっていると思います。
長文を書く上でやらかしがちなのが、伝えたいことを長々と書いて「結局何が言いたいのか分からない」「ただただ読みにくい」といった内容になってしまうこと。これを克服するには、長い内容を短く分割する練習をするしかありません。
その中で1ツイートで内容を完結させることを求められるTwitterは、構成力を鍛えるためには正にベスト。どんなに長くても140字で文章を終わらせないといけないので、自分で読んで意味不明だと思ったものは否応なく書き直さなければならないからです。
実際にツイート前にやること
僕は書きたいことが140字を超えている場合、まずそのツイートで字数を圧迫している「絶対に必要ではない表現(誇張など)」を探して消去します。これを行うだけでも文章はかなり読みやすくなります。
次にそのツイートで「文字数を削減できる別の言い回しがある部分」を探して、そこを書き換えます。これは長文を書く上で問題となりやすい、同じ表現(語尾)が文中に何度も登場してしまうミスを確実に減らします。自然に利用可能な語彙力や表現力も磨かれます。
これを積み重ねても140字に収まらないと判断した場合は、そもそも1ツイートに収める内容を削って2ツイートに分けます。その際に、それぞれが1ツイートとして成立するように文章を仕立て直します。
これらを繰り返し行うことで、1つ1つの短文の中にしっかりと意味を込めるノウハウが培われますし、全体構成をしっかりと演出する能力も自然と身に付きます。
また、自分の文章を見直して書き直す必要に迫られることで見直しや推敲の癖も付き、誤字脱字の数を大きく減らします。Twitterは形式上、勢いで重複表現やミスの多い雑な投稿をしてしまうことはそれなりにありますが、長文の場合は自己チェックでも最小限まで減らせるはずです。
枠組みは足かせではない
このように、Twitterで長文を書くことは、実際にフリーな長文を書く上で必要なスキルを自然と磨いてくれるのです。
縛りのある環境で研鑽を積めば、できなかったことが自然とできるようになるもの。スポ魂漫画が強制ギプスとか数十キロある重りを付けてトレーニングするのに近い感覚だと言うと分かりやすいかもしれませんね。
ですから「→(続く)」のような2つのツイートをブツ切りで繋ぐような連投を見ていると「Twitterでそれをしてたら文章上手くならないよなぁ」と個人的には思ってしまいます。
せっかく140字という枠組みが用意されているのだから、その枠組みを邪魔な足かせだと思わずにそこでしかできない表現や構成を考える。発信者であれば、そういった努力をすることも大切だと僕は考えています。
おわりに
Twitterで長文を書くことが、実際の長文を書く良い練習になる理由を、僕の体験談を踏まえて書いてきました。
長文の構成力とは一朝一夕で身に付くものではなく、日々の積み重ねが重要です。かく言う僕も、まだまだ見直さなければならない点は本当にたくさんあると思っています。
しかし「練習しよう」と思って文章を書くのはなかなか苦痛なことで。仕事でもない限りは、楽しく書きたいことを書きながら練習できるのが理想ですよね。
Twitterは何となく普段使いできるものながら、その中に一定の縛りがあるラフなツールです。ダラダラと書きたいことがあるなぁと思った人は、まずTwitterの140字縛りを利用しながらそれを幾つかのブロックに分けて連投。その内容を参照しながら書くと、一定の読みやすい文章に仕上げられると思います。
その積み重ねが、一歩上の文章構成力をあなたに授けてくれるかもしれません。長文を書く練習をしたい人は、是非Twitterの仕様を利用してみてください。
できることをできるレベルで始めることが大切です。この記事が行動する後押しの1つとなりましたら幸いです。それでは。