表現活動

原作がある作品の脚本化という仕事とは? 忍殺222で受賞するまでに感じたこと

投稿日:2018年3月15日 更新日:

祝 ニンジャスレイヤー222入賞!

脚本を担当しているサークル「ニンジャ演ずべし」!
悲願のシックスゲイツ賞受賞となりました!

その動画がこちら。是非聴いてみてほしいです!

実は去年も「バトル・オブ・ザ・ネスト」の脚本が選考ノミネート作品に選ばれておりました。今年はこの222に合わせて作品を発表し、賞を狙っていこうとなったのが去年のお話。実際は冬コミに間に合わなかったのが上手いことハマったのだが!

自分にとってこの忍演が初めての「既存作品の脚本化」という活動でした。
もちろん原作の良さあっての脚本という仕事ですが、媒体を変更するというのは想像以上に気を遣うところがあるなぁというのが正直な感想です。

脚本としても今回で4作目となり、まぁまぁ慣れてきたという頃合い。今回、オーディオドラマが受賞に至ったということで、語る権利くらいは頂けたのではないかと勝手に思っております。ここで1度『ニンジャスレイヤー』という作品を脚本化する上で僕が気を付けているところを公開してみようと思います。

これを読めばオーディオドラマ用に原作をDIYできる!と思ってもらえるよう頑張ります。よろしければお付き合い下さいませ。

1.地の文=サンを台詞に落とし込む

地の文=サンの中で、台詞に落とし込めるところがないかを探します。一番初めにこれをやります。これは公式のオーディオドラマの手法を参考にさせて頂いています。

ニンジャスレイヤーは皆様ご存知の通り、地の文=サンの語り口が非常に独特。「=サン」付けされていることからも分かるように、一人のキャラクターのような魅力を持っていると思います。

説明的な語りの中には、ほぼそのまま台詞として利用できるところがかなり沢山あるため、シーンごとに一番違和感のないキャラクターに、地の文を台詞やモノローグとして発言してもらいます。

発言箇所が前後するところもありますが、あまり大胆なカットは脚本段階では入れず、原作にある表現はできる限り踏襲するように入れています。

地の文の不要な部分は音声編集の段階で削られます。その部分の塩梅は結構編集チーム(一人)の手腕に一任しています。本当は直接やり取りしながら吟味するのがベストなのでしょうが、物理的な事情などもあり、ここは信頼して任せています。実際良いものができますしねぇ!

変換できるところは限られるので、抜き出すこと自体は難しい話ではないです。しかし、モノローグをどう使うかで臨場感や空気感がかなり変わるので、仕立て直し方には気を遣います。場の状況や読みのテンションを意識しながら台詞に起こし直し、配置を考えます。

これが二次創作オーディオドラマを創る上で、脚本化に必要な最も基本的な部分かと思われます。

2.台詞の加筆について

原作のイメージを最大限尊重するため、オリジナル展開は入れていません。しかし小説そのまま音声にするとどうしても淡白になりやすいため、加筆は必須です。

原作の展開やイメージが変えずに、寧ろ盛り上げられると判断できる部分についてこれらの加筆修正を施します。

ニンジャスレイヤーは140字ツイートを1つの区切りとする特性上、サラッと流される描写が多くあり、これを上手く活かすのが加筆のポイントになります。原作で地の文=サンが一言で片づけている描写を膨らませ、音声化の際の盛り上がりを創っていきます。

例えば、短編である「バトル・オブ・ザ・ネスト」では、地の文=サンが4人の会話を省略していたため、この会話を膨らませる方向でシナリオのボリュームを整えました。実は結構増えてます。

受賞作「ゴールデン・デイズ」では大胆な加筆はありませんが、シンゴとタバタの会話などは臨場感を意識して、一部加筆したり順番を整えたりしています。

ちなみに圧倒的に気を遣うのは地の文=サンの加筆です!
あのアトモスフィアを再現できるかどうかは書き手として非常に難しい問題です。頑張っています。

展開的に台詞を喋るところではないが、音声的には間があった方が良いという場合に、地の文を敢えて書き足すことがあります。これは場合によっては活かされますが、音声編集の都合により削除されることもある部分です。

音声編集で良いアトモスフィアと間を創ることができれば、必要ではない部分になりますので(悲しさは否めない)

3.バトル描写の加筆について

滅茶苦茶加筆してます!

処女作「オハギ」以外は選んだエピソードが短編だったこともあり、原作では戦闘が一瞬で終了しています。

小説は即読性とも言うべきその文体により、刹那的なニンジャの戦いを巧みに表現しています。しかしオーディオドラマになるとやはり聴き手の高揚感を高めるのが重要になるため、長めのバトルシーンが必要となってきます。

原作の描写を参考に頭の中で「カッコイイ動き」を妄想し、着地点まで自由に考えて加筆しています。スッゴイタノシイヤッター!!

この二次創作オーディオドラマをやるまで、キャラクターの動きなどを想像するのが苦手なタイプだったのですが、割と克服できてきたかなと思っております。「ナラク・ウィズ・イン」などオリジナルのBGMを脳内再生し「ここでサビ!!」とか言いながら書いてます。尺もある程度BGMの雰囲気で想定して書き足しています。

「ゴールデン・デイズ」のダイヤモンドダスト=サンが爆発四散する部分は、かなり派手に加筆をしているので良かったら比べてみてください!

4.音声編集されるイメージを固める

全ての項に共通するのですが、音になった時どういう感じになるのかを常に想像しながら脚本化しています。

自分で読んだり、黙読したりして、ここでどういう風にBGMが入り、どうSEが入るのかなどを1通り想像します。それに合わせて加筆ポイントを探したり、削除したりするのです。

文章としてどうかより、音としてどうなるかを常に想像して脚本編集をしていると思います。これは「場の状況を正確に想像できているかどうか」に繋がっているのかなと。

例えば、アニメならここは表情や目配せで表現するところ。動きだけで魅せるところなどありますが、オーディオドラマではそれに全て台詞をあてがわないと聴き手が理解できません。そういう細かいところに台詞が存在しない場合は、前記した台詞の加筆を入念に行います。

演技や編集ではどうにもできない穴を、脚本の段階で音声化して確認しておかないと、何が何だか分からない音声になってしまいます。音声編集に渡す前に、臨場感を作成する土台を創っておくのが脚本という仕事だと今は思っています。

もちろん、全てがその通りになるわけではない。音声編集に任せておいた方が良いところも沢山あります。ですが、脚本側が「音声編集の時にこうなるだろう」というイメージを明確に持っていると、音声編集もその意思を汲んでくれます。いつもそうです。優秀な編集チーム(一人)です。

そこから更に音声編集チームが「この方が良いよ」と言わんばかりの神アプデです。スーパーな技術による素晴らしいミステリアスムーブによって脚本チーム(一人)にも想像できない音声ができ上がるのです。

企画チーム(一人)はいつもご満悦です!

まとめ

色々語らせてもらいました。偉そうにすみません。
ですが、公式に作品が認められたというのはもう抜群に嬉しい瞬間です。
本当にありがとうございます!

これは当然、脚本と編集の間に、役者陣の確かな演技力があってこそ実現するもの。

ニンジャ演ずべしは企画チーム(一人)脚本チーム(一人)編集チーム(一人)の3人構成で始まり、その3人がお芝居も担当しています。作品によって4人目の役者が入るという形で活動を行っています。

クリエイティブスピリットを持ちながら、役者としても確かな実力を持っている。本当に恵まれた面子で二次創作が楽しめていると思います。

僕も参加してる分、自画自賛っぽくなるし、大きい声では言えないんですけどね(※受賞作ではシンゴとアイスジャベリンと電子マイコ音声を担当しています!)

実際、完成した音声で最も注目を集めるのは役者の演技。これは絶対的事実です。しかし実は、役者の演技を引き立てているのは音声編集の技術力だったり、それを支える脚本編集という仕事があったりします。

アニメなどを見る場合でも、話の面白さと声優さんの演技が語られることがほとんどで、たまに作画やBGMの話が出てくる作品があるというのが現実かと思います。ニンジャスレイヤーの公式オーディオドラマについても、やはり似たようなことが言えるのではないかなと思います。

二次創作という限られた面子で行うものだからこそ、こういった原作ありきの脚本化といった行いや、音声編集という裏方仕事のアピールができるのかなぁとも思います。

二次創作でオーディオドラマを創るというのは意外と大変です!やることも多いです!でも、その気になれば少人数でもできることは我々がこのように証明しています!

この記事ではニンジャ演ずべしで僕が培った、原作ありの脚本化についてのノウハウを記事にしました!是非これを読んでオーディオドラマの作成などに、他の方々もチャレンジしてみてほしいです!

僕らはこれからも忍殺DIYを楽しみたいと思います!
ニンジャ演ずべしをよろしくお願い致します!

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