校長先生が授業をしているところって見たことがありますか?
長い話をする人というイメージはあっても、授業を受けたことはない。
校長先生は授業をしない人なんだな。
そういう認識の方が大半だと思います。
実はそれ、法律で「授業できない」と定められていたって知ってましたか?
この記事ではそちらの内容を詳しくまとめていきます。
法律上「校長」は「教員」ではない
今の学校教育法では、「校長」と「教員」は区別されています。
そして法律上は教員(教諭)という立場の人間がした授業でなければ、「学校の授業」に見なされないことになっているのです。
教職に就くには試験に受かって免許を取る必要がありますが、これは法律の範囲で「授業」を行うのに必要なものと位置付けられているんですね。教え方の上手い塾の先生に勉強を教えてもらっても、学校で単位を取ることはできないですから。
教職免許を持っている人が教員として採用されることで、初めて授業をする権限を得ます。そして、学校教育法第7条にはこのような記述も存在しています。
(学校教育法第7条)(校長、教員)
学校には、校長及び相当数の教員を置かなければならない。
「校長」と「教員」は別物であるという旨が明記されています。
つまり校長先生は法律上は「教員」ではないため、授業を行う権限を持ちません。あくまでも校長として学校の運営をしっかり執り行うことを仕事として設定された役職だそうです。
教職免許を持っていても、優れた先生であっても、校長という役職では授業をすることができない。そのような法律になっているのですね。
ただし非常時などでは兼務発令が行われ校長が教員扱いとなることができる他、校長を教員の一種と考え授業を行っている自治体も一部あるようです。これは学校教育法20条などに、原則として校長は教員免許を保持している者が就く職であることが明記されているのと関係しています。
教員免許のない一般人でも校長にはなれる
じゃあ校長というのは厳密に言えば先生ではないのでは?
授業をしないなら教職を持っていない人がやることもできるのでは?
と思われる方もいらっしゃると思いますが、実際になれます。
平成12年に「学校教育法施行規則」が改正され、一般人でも校長及び教頭(副校長)になることができるようになりました。一般人が校長を務めて斬新な教育現場を作ることを目的に制定されたものだそうです。
もちろん誰でもいいというわけではありませんが、公募条件を満たした人ならば教職免許を持たずに校長の席に座ることはできるのです。
教える能力に優れた人が、優れた運営能力も持っているとは限りません。良い選手が良い監督になるわけではないのと同じことで、そういった区分けを考えて用意されたものなのでしょう。
ちなみに教頭先生も同様に一般人からの登用が可能となっていますが、教頭先生は教員扱いであり「授業をすることができる」ので、基本的には教職免許を持っている人が兼任するという形が多いそう。その分教頭先生は激務化してしまう問題もあるようですが……。
まとめ
校長先生は授業ができない。
その理由は校長と教員が違うものとして法律で扱われているから。
そして教員の授業しか、学校の単位取得認定対象にならないからでした。
厳密に言うと授業できないというより、授業しても意味がないという感じですね。
僕が学生時代の時「授業後に質問に行ったらたまたま校長先生に教えてもらえたが、すごく分かりやすかった」と嬉しそうに言っている人がいたのを覚えています。当時、校長先生に教えてもらうというのは、それくらい特別なことに見えたものです。
そう考えると「授業をしない」というのも校長という権威ある立場でいるためには大事なことなのかもしれません。面倒臭そうに見えて、ちゃんと意味のある法律なのかもしれないなと、考えていて思いました。
読者の方々にとっても、この記事が先生について考える機会になりましたら幸いです。
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