耳の穴に指を入れた時に聞こえる「ゴー…」という音。
人生で耳を塞いだ時に誰もが聞いたことがあると思います。あれのせいで指で耳を塞いでも「完全な無音」を体験することはできないんですよね。
皆さんは、あの音が何の音だか知っていますか?
血液の流れる音?
空気が隙間から漏れる音?
様々な憶測が頭に浮かぶと思います。
しかしなんと、そのどれもがハズレ。
実はあの音は耳ではなく、"腕"に由来するものだったんです!
注目するのは筋肉です!
この記事では、その正体を詳しく解説して参ります!
腕を曲げた時に筋肉から出る音
あの独特な「ゴー…」という音は、"筋音"と呼ばれています。
筋肉の活動に合わせて筋繊維が収縮した際に起こる振動音。それこそがあの音の正体です。
この音は手を伸ばしている時には発生せず、手を曲げた時の筋肉の動きに合わせて発生します。
腕の内側の力こぶを作る筋肉。
いわゆる上腕二頭筋が曲がって収縮した時に引き起こされる音が、指を通じて耳の中に響き渡るのです。
この筋音は腕が曲がっている時にのみ指を伝わってくる音ですが、腕を曲げずに自分の耳を塞ぐには物理的に不可能なため、結果として耳を指で塞いだ際には絶対に聞こえる音ということになります。
一昔前は「血液の流れる音」だと解釈されていたものの、最近の研究でそれらが改められ、今では筋音であるという結論が一般的になったようです。
音の出所は、想像しているよりもずっと遠くにあるのでした。もちろん、普通に活動していれば絶対に耳に入ることはないような小さな音ですが、それが身体を伝うことで鼓膜を揺らすことがあるとは、何とも神秘的な話です。
指には筋繊維がない!
では、どうして指で塞いでいるのに腕の筋肉の音だと断定できるのでしょうか?指の筋肉の音である可能性はないのでしょうか?
実は指の音ではない確固たる理由があります。
それは至ってシンプル、指には筋繊維が存在していないからです。
人間の指は筋肉ではなく"腱"によって支えられ動いています。軸になる筋肉は手のひらや指の付け根に存在しているものです。これらは耳を塞ぐ際に腕ほど大きく収縮することもないため、あまり大きな筋音を出しません。
ですから耳に響き渡る音は質量、動き共に最も大きい腕の筋肉(上腕二頭筋)が発している筋音だと考えられているのです。
ばね指や突き指といった指だけに見られる特殊な負傷が存在するのは、指の作りが特殊なものであるからなんですね。音の正体と合わせて、こちらも覚えておくと何かの役に立つでしょう!
まとめ
・指で耳を塞いだ時の音は筋肉の収縮する音。
・腕の上腕二頭筋が収縮した際に出す筋音。
・過去には血流の音だと誤解されていた。
・指には筋繊維がないため、腕の筋音とするのが一般的である。
といった内容でした。
誰もが幼少期から体験したことがあるけれど、それ故に「考えたことがなかった」という知識ではないかと思います。
特殊な予備知識など一切なしで万人に通用する雑学ですので、隙間のトークや飲み会の小話などに使ってみてはいかがでしょうか?