冬になると脂の乗った寒ブリが食せるようになり、食卓で見る機会も増える鰤(ぶり)。
そんな中、愛媛県が開発中の「チョコブリ」という養殖ブリをご存知でしょうか?
チョコレートを混ぜた餌を食べさせて育てる新たな品種として注目を集めているのです。
愛媛県はみかんを食べさせて育てる「みかんブリ」なども開発して出荷しています。柑橘系のほのかな香りがすることにより、魚の生臭さが抑えられることから人気を博している「フルーツフィッシュ」の一角です。「チョコブリ」もその延長線上にある改良魚です。
ということは「チョコブリ」は身からチョコの香りがする…?
謎は深まる新商品ですが、良いところがたくさんあるようです!
それをこの記事ではご紹介します!
通常のブリの2.5倍鮮度が長持ちする
「チョコブリ」の最大の特徴は味などではなく、鮮度が長持ちするところです。
通常のブリは2日で変色してしまいますが、「チョコブリ」は出荷から5日経っても新鮮な状態の切り身をキープできるそうです。生魚は傷みが早いのがネックですから、この変化は大きいと言えますね。
この変化はチョコレートに含まれるカカオポリフェノールの抗酸化作用によってもたらされているようです。抗酸化作用とは老化の原因となる酸化に抗う力であり、人間でもアンチエイジングという形で利用されているものです。今や一般的に知られている知識と言っても良いかもしれませんね。
こういった抗酸化作用は魚にも同じように効果を示し、身体の状態を長期に渡って維持することができるようになる=鮮度が保たれるというわけです。
「みかんブリ」も同じく柑橘類の抗酸化作用を利用しているとこのことですが、「チョコブリ」の方が変色が出るまでの期間がより長くなる(鮮度が長持ちする)んだそう。また、餌としても苦いみかんの皮よりチョコレートの方がよく食べてくれるとか。好き嫌いがあるんですね。
その数日の長持ちにより、今までは難しかった海外への出荷を安定させられるのではと期待されています。一般的な食卓に並ぶだけでなく、経済的にも大きな役割を担ってくれる可能性があるとのこと!
2018年12月頃から一般流通が始まり、今ではネットなどで誰でも購入することができます。興味のある方は試してみてはいかがでしょうか?
チョコの味や香りはしない
「みかんブリ」と違い「チョコブリ」はチョコの味や香りはしないそうで、触感も含めて極一般的なブリと同じです。
味や匂いが変化してしまうというのは「みかんブリ」の長所でもあり短所でもあったので、全く味が変わらないというのは「チョコブリ」の大きなメリットとなり得えます。
実際チョコの香りがしてしまったら、恐らく商品にならなかったでしょう。食べたら美味しいとしても、そのイメージでは購入してみようとはなかなか思えないものです。
やはり新鮮な魚は魚の味で食べるのが1番。
大きな欠点や特異性がなく、単純に保存力だけが向上するというのは素晴らしいですね。
まとめ
養殖ならではの長所を活かして生み出された「チョコブリ」。まかり間違っても自然のブリでは実現できないからこその独自性や面白さがあると思います。
魚の養殖と言うとどうしても天然ものより1ランク劣るという風潮があります。
しかし野菜が品種改良でより美味しくなったり、家畜の○○産がブランドになるのは当たり前のこと。実際は魚にも同じことが言えるのではないでしょうか?
管理されているからこそ生み出される全く新しい長所を持った魚も当然いる。でも実際はそういうものに目を向ける機会はあまりないですよね。
この記事が皆様にとって、そんな認識を変える内容でしたら幸いです。