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学校の先生は残業代が出ない!?時代遅れの法律「給特法」の正体とは…

投稿日:2019年2月8日 更新日:

 

学校の先生の働きすぎが問題視されている昨今。
小学校教師の3割、中学校教師の6割が過労死予備軍であり、その過酷な職場環境から学校から担任の先生という存在が消えるかもしれないと言われているほどです。

しかし働くということはそれだけ給料が発生するということのはず…。学校の教師も公務員…働けば働くほど残業代が貰えているのでは…。実は学校の先生って意外と高給取りだったりする…?

こんなことをお考えの皆さん。それは大きな間違いです。
何故なら学校の先生はどれだけ働いても残業代が貰えることはないからです。そして休日出勤手当もありません。

つまりサービス残業ありまくりの働かされ放題ということ。
そこらのブラック企業も裸足で逃げ出す(かもしれない)待遇です。

こんな地獄のような労働環境になってしまっている理由は法律にあります。

「給特法」という先生達を縛り付ける悪魔の法律についてまとめて参ります。

残業代の代わりに月給4%の特別手当を支給する法律

「給特法」とは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称です。

長ったらしいですが、要するに「学校の先生の給料を特別扱いにする法律」ということのようです。

この法律の概要をまとめると

・時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない。
・その代わりに月給の4%分の特別手当が自動的に付与される。
・これは教員という職業が通常の労働形態で図ることができない職業だからである。

ということのようです。
なるほど、全く残業代が出ないというわけではなく月給の4%は毎月支給されているようですね。…月給の4%?

4%というと仮に月30万円貰っていても12,000円にしかなりません。
過労死に近い状態で働いているということは、月に100時間をゆうに超える残業を強いられている可能性もあり、時間換算すればこの10倍は貰っていないとおかしい計算です。こんなお小遣いのような金額で終わる話ではないはずです。

つまりこの「給特法」という法律は、現在の先生の定額働かせ放題とも呼ぶべき現実を招いている諸悪の根源と言えるでしょう。先生達が良いように働かされているにも関わらず、金銭的な話題が一切ニュースなどに上がってこないのには、このようなからくりがあったというわけです。

しかし、何故このようなおかしな法律ができてしまったのでしょうか?その理由を次の項に記載します。

1966年の古いデータを参照にした内容のまま放置されてしまっている

「給特法」が制定されたのは今から55年以上前の1972年。
学校の先生に払う特別手当を確定するということは、国や自治体はその財源を確保する必要があるということ。慎重な対応が求められる法律であったと考えられます。

当然のことながら普通に働いている人達との間に大きな格差が出ないよう、一般社会でどの程度の残業時間が発生しているかのデータを基にして、適切であろう数値を設定する必要がありました。

「給特法」が施行前に参照にしたデータは1966年のものです。
当時は今ほどブラック労働環境が取り沙汰されるような時代ではもちろんなかったですし、残業というもの自体が少ない時代だったと思われます。

そのためデータ化され残っていた月の平均残業時間はわずか8時間(週2時間ほど)しかありませんでした。「給特法」はたったこれだけしか残業が発生していなかった時期に作られた法律であるにも関わらず、55年以上経った今でもその形態を維持しています。

これこそが学校の先生の過酷な労働環境を招いてしまっている負の遺産なのです。
通常の公務員が働きすぎれば残業代が多く発生し、財源圧迫の危険性が出てくるため、必ずニュースになることでしょう。しかし、学校の先生についてはこの「どれだけ働いても出ていくお金が変わらない」法律によって、誰にも問題視されることなくここまでエスカレートし続けてしまったというのが現状であると言えます。

すぐには変えられない闇の深い理由も

このような理不尽を押し付けられていて何故、現状が変わって行かないのでしょうか?

その理由も複数あると考えられます。

1つは学校の先生達自身が、この状況をおかしいものだと思っていないということ。

初めからずっとそうであったならば、当たり前として受け入れてしまっている人もいることでしょう。特に学校の先生を好きで仕事にしているような聖職者の方々については「お金のことなどさしたる問題ではない」という考えの方も多そうです。

もう1つは学校の先生達が疲弊しすぎてしまっていること。

日々の重労働に耐え忍ぶことで精一杯になってしまっており、おかしいとは思ってはいるものの現状を変えようと奮起するだけの余力は残っていないということです。奴隷の環境を指し示すような語り口になってしまっていますが、あながち間違いではないというのが苦しいところです。

しかしながらこの問題に立ち向かおうとしている人達はゼロではなく、現在は現職の教員やその家族が署名活動を行い「給特法」の改善を訴えるなど、事態は少しずつ進歩していると言えそうです。
(参照:https://www.bengo4.com/internet/n_8945/

さらに言えば、この法律を改正することで劇的に社会環境が変化してしまうリスクも歯止めになっていると考えられます。

「給特法」が改正されるということは「学校の先生に今の倍近い給料を支払う」もしくは「学校の先生の労働時間をできる限り所定時間内に抑える」というどちらかの状態に自治体が陥ってしまうということです。

先生全員に一気にお金を支払うには凄まじく莫大な財源が必要です。その財源の確保をどう行うのかの目処が立たない限り、簡単に改正しましょうとは言えない現実はあると思われます。かと言って「財源を確保できないから」と学校の先生を全員所定時間で帰らせてしまったら、今の学校教育は崩壊します。

これは筆者の所見ですが、こういった状況の改善が進まない限りは、国単位でこの法律が抜本的に変わることはないと思われます。だからこそ、こういった問題が現代に存在しているということを1人でも多くの人が認識し、周知して行く必要があるのではないでしょうか。

まとめ

学校の先生は残業代が出ない。
「給特法」で極わずかな手当てが支給されているのみ。
この異常な法律は1972年に施工されて以降、一切変化していない。
変えて行くには、社会全体でこういった問題への意識を高めて行くことが必要。

というような内容でした。

「給特法」が良かれと思って施行された法律なのか、元から学校の先生をこき使うための悪法だったのか、若い我々には知る由もありません。しかし、これが痛烈な社会問題と化してしまっていることは紛れもない事実です。

単にこの法律を改正すればOKというものではなく、もっと深いところでのお金の話や先生という存在が世間に持たれているイメージなども含め、根元から変えて行かなければならない難しい問題です。これは良くないことであると、我々庶民が認識しなければなりません。

そうして行く内に、変えられる日が来るかもしれません。
この記事が1人でも多くの人にこの問題を伝える力を持つことを願って、この記事を終わらせて頂きます。お読み頂きありがとうございました。

 

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